まるで兄弟?のような曲 |
左の青い方はヘンデルの11のフルートソナタ曲集で、右はマルチェロのフルート/リコーダーソナタのピース。
一見異なるこの2冊の間に、実は意外な共通点が潜んでいます。
両者に共通するその意外なものとは・・
まずヘンデルの方がこちらのフルートソナタヘ長調、作品1-11の中にあります。
こちら↑は第1楽章(いずれの画像もクリックで拡大します)。
そして、この曲の第4楽章(Allegro)はこんな↓曲なんですが・・
これ↓と似ていませんか?
こちら↑はマルチェロのフルートソナタヘ長調、作品2-1の第4楽章、Allegro(ものによってはVivaceとなっていることも)で、上のヘンデルの曲とはまったくの別モノです。
このことに気づいたのはつい先日、最近夫が入手したらしいそのマルチェロの楽譜を見つけてさらっていたときでした。
第1、第2楽章・・と進んできて、第4楽章を弾き始めたところでハタと手が止まりました。
初めて目にする曲のはずなのに、なんだか耳と指に覚えがあるような・・
私が不思議がっていると、脇から夫が言いました。
「そうなんだよ、それとそっくりの曲があるよね。」
夫もどの作曲家の何の曲だったかまではパッと思い出せず、家にあるそれ系の楽譜を片っ端から繰ってみました。
その結果、以前からうちに楽譜のあった、ヘンデルのフルートソナタだったことがわかったのです。
両者を改めて比較してみてびっくり。
リズムといいコード進行といい、全部とは言わないまでも部分的にはあたかも同じ曲をアレンジしたものかのように似通っています。
ひょっとしてこれパクリでは?との思いが瞬間頭をよぎりましたが、そんな現代ではとても許されないようなことが、あの時代には割合珍しいことでもなかったことを思い出し・・
じゃぁもし仮にそうだったとして、同時代に生きた2人のうち、一体どちらがどちらを「パクッ」たのだろう?
気になって調べてみたら、意外にも(失礼!?)マルチェロのソナタの方が先に作曲されていたことが判明。
その上、ヘンデルはイタリアに学んで影響を受けたとの記述も見つかって。。
ひょっとしたらひょっとしたのかも、、な~んて思ってしまったのでした。
ちなみにマルチェロ(Benedetto Marcello)という作曲家は、本職は法律家で、自らを「ディレッタント」と称していたようです。
それでもこんな後世に残る名曲を生み出しているのですから、本職の音楽家たちはたまったもんじゃなかったのではないかしらん?
本人は豊かな人生だったかもしれないけれど・・。